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○学校全体または学校区全体で“クリーン"地区購入と運営プランを計画し、実施し、運営し評価すること。などである。
この段階での行動目標は、主に説得活動、消費者活動、政治的活動、そして生態学的管理(エコ・マネージメント)が挙げられる。
これらの行動は、1回限りの活動や短期の努力以上のことが必要になるから、長期的な戦略を見出して、子供たらが学校を卒業した後でも、その後の在校生がプロジェクトを継続して引きつぎ努力することである。従って多くの場合、組織、リーダーシップ、コミュニケーションおよび資金繰り、財政のやり方が非常に違ったものになる。
〔レベル3〕
この段階の行動は、レベル1,2よりずっと高度な技能が要求される。その特徴は、政策、行政規則、法律などを変更するようなプロジェクトを計画し、実行することである。
学校においては最も少ない行動形態のひとつであるが、このようなプロジェクトも次第に行われるようになってきている。
例えば、
○学校の理事会または学校区教育委員会の方針・政策を変更してもらう。
○生物種や生息地を保護する法律を通してもらう。
○重要な環境を意味する土地を購入する計画を住民投票で決める。
○環境汚染者や破壊者(企業など)を裁判に訴える。などである。
このようなプロジェクトは支援体制、時間、資金、人材等もレベル1や2とは量的にも質的にもきわめてちがった内容のものである。
この段階の行動は主に政治的行動、法的行動に当たり、多くの場合をその他全てのアクション・タイプを含むものと考える。
これらのプロジェクトは、ほとんどの場合、批判を受けるものであり、批判は地元社会の住民や、政治ロビー・グループ、利審関係にある者や学校というものは日常生活の現実や政治的行動などからは離れた存在であるべきだと者えている人たちからである。
これら3つの段階は、経験と学習は違ったレベルでのプロジェクトで得られるものである。そして、子供たちは学校生活を送る間に3段階のアクションプロジェクトの全部を経験することが望まれる。
ここで、紹介したWilliam.F.Hammondの「環境行動の3段階」は、フロリダ州フォート・マイヤーズのリー郡学校区など、一部の地域で実践に移されている。しかし、アメリカ全体では今のところ、学校教育の中でどこまでを導いていくべきかということで賛否両諭が分かれるところである。ましてや、日本の義務教育課程でこの理論を実践するとすれば、社会性、国民性等の違いから現段階でのその取り組みは非常に難しいと考える。
しかし、少なくとも、この事例は民主主義社会において、社会経済システムを変革するために、市民がどのような行動をしていく必要があるのかを明確に示している。
いずれにしろ、学校の中で環境教育を進める教師も、たとえ対象者が年齢的、レベル的に現段階ではこうした行動への到達が難しいと判断しても、この目標を明確に心に留めていない限り、現段階での自分の役割を見いだすこともできない。つまり、子供たちはいつまでもゴールの見えないまま、非効率的な道を歩み続けることになる。

 

 

 

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